2019年1月21日 礼拝説教 「主の祈りーこの日に食べるパン」

20191月21日礼拝説教
「主の祈りーこの日に食べるパン」

ルカによる福音書111節~4節 

1節                  イエスはある所で祈っておられた。祈りが終わると、弟子の一人がイエスに、「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください」と言った。
2節                  そこで、イエスは言われた。「祈るときには、こう言いなさい。『父よ、御名が崇められますように。御国が来ますように。
3節                  わたしたちに必要な糧を毎日与えてください
4節                  わたしたちの罪を赦してください、わたしたちも自分に負い目のある人を皆赦しますから。わたしたちを誘惑に遭わせないでください。』」

 1783年は天明の大飢饉があった年として有名ですが、236年前のこの年は弘前藩の住民にとって悲劇の一年になりました。まずは413日に岩木山が噴火しました。この噴火による火山灰の被害に続いて、同じ年の83日に群馬県の浅間山の大噴火があり、地球の反対側にあるアイスランドのラキ火山の巨大噴火が原因で北半球全体が低温化し、東北地方の稲作が大きな打撃を受けました。

弘前藩の場合は自然災害に加え、杜撰な藩運営による借金の穴埋めがあったと言われています。農民が不作に備えて貯めていたお米を回収して中央に売りさばいていたので、藩内に食べる物がなくなりました。10万人以上の餓死者が出て、当時は手形がないと藩の外に出てはいけないのに、8万人の農民が碇ヶ関の関所を強行突破して秋田方面に逃げて行きました。その結果、弘前藩の人口が半分近くにまで減ったと言われています。

 古代から始まった農業革命は人類に大量の食糧を生産する手段を与えました。その結果、世界各地の人口が爆発的に伸びましたが、人口密集地は自然災害や伝染病の被害を受けやすくなり、何万人もの死者が出る悲劇が繰り返されるようになりました。21世紀になってから、戦争が起きている場所を除くと、飢饉はとても稀な現象になりましたが、19世紀のヨーロッパでも、アイルランドのジャガイモ飢饉など、百万単位の死者が出る飢饉があり、中国では私が生まれた頃も千万単位の餓死者が出る飢饉が起きていました。

 イエス様が弟子たちに教えた、自分のために祈る最初の言葉は、健康やお金や幸せを求めるものではありませんでした。直訳に近い日本語で言うと、「その日に食べるパンを、食べるその日にください。」でした。当時の人たちにとって、次の日に食べる物があるのかないのかが切実な問題だったことが分かります。人類の歴史を振り返ると、一生このような悩みを持たずに済んだ人たちは果たして何人いたのでしょうか。

色々な悩みがあっても、次の日に食べるご飯があるかどうかについて悩んだことのある人は、ここにはほとんどいないと思います。しかし、物質的なものに限って言うと、イエス様が許した祈りはこれだけでした。必要な食糧が当たり前と言えない時代に、「お腹がすくことのないように、この日にこの日のご飯をください。」という祈りをするように教えました。

今日、ここにいる私たちは、時代に合わないようにも思える、この言葉から何を学べば良いのでしょうか。まずは、毎日、口に食べ物が入っていることの不思議さをじっくりと味わうべきだと思います。家族が育てたものを食べている生徒もいると思いますが、食物を育てる過程について少しも考えないで、一日三回、ガツガツ食べているのが、私を含むほとんどの人たちの日常ではないでしょうか。食べ物はすべて、もともとは命があるもので、毎日、私たちの口に入ってその一生を終えます。この事実を厳粛に受け止めましょう。

次に、「毎日、必要な糧」という、人の命に必要な肝心かなめの物をいただいているので、それ以上に果たして何が必要なのかについて、考える機会にするのも良いと思います。もしかしたら、他に必要な物がなく、とてもぜいたくな暮らしをしている自分に気が付くかもしれません。食べるものさえあれば十分だと言える人は、揺らぐことのない幸せをつかんだ人だと言えます。

最後に、この祈りをするずっと以前から、まずはお母さんの母乳から始まり、それから成長するにしたがって豊富な種類の食べ物を私たちに提供してくださった神様に感謝すべきではないでしょうか。この短い、単純な言葉が持つ深い意味を、心によく留めておきましょう。「わたしたちに必要な糧を毎日与えてください。」

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