2018年9月3日 礼拝説教 「収穫をください」

201893日礼拝説教
「収穫を下さい」

ルカによる福音書101節~9

1節                  その後、主はほかに七十二人を任命し、御自分が行くつもりのすべての町や村に二人ずつ先に遣わされた。
2節                  そして、彼らに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。
3節                  行きなさい。わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに小羊を送り込むようなものだ。
4節                  財布も袋も履物も持って行くな。途中でだれにも挨拶をするな。
5節                  どこかの家に入ったら、まず、『この家に平和があるように』と言いなさい。
6節                  平和の子がそこにいるなら、あなたがたの願う平和はその人にとどまる。もし、いなければ、その平和はあなたがたに戻ってくる。
7節                  その家に泊まって、そこで出される物を食べ、また飲みなさい。働く者が報酬を受けるのは当然だからである。家から家へと渡り歩くな。
8節                  どこかの町に入り、迎え入れられたら、出される物を食べ、
9節                  その町の病人をいやし、また、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。

終戦後に日本を占領した連合軍の最高司令官、ダグラス・マッカーサーは多くの明言を残しましたが、日本軍に追われてフィリピンを去った時に言った、“I shall return.”「私は必ず戻る。」と、軍人として解任された時に言った、“Old soldiers never die. They just fade away.”「老兵は死なず、ただ消え去るのみ。」の二つが特に有名です。その他にいくつもありますが、一般的にあまり知られていない言葉の中に、英語圏のキリスト教会に大きな影響を与えた物があります。「日本に宣教師を送って下さい。敗戦に伴って、これまで日本人が信仰の対象としていた神々は信用を失った。一万人の宣教師が日本に来たら、日本はキリスト教国家になる。」

この言葉は教会の機関紙などを通して伝わり、多くの若い信徒の心を揺さぶりました。一万人は来ませんでしたが、私の父を含む数千人の宣教師が占領中の日本にやって来ました。その中に教育や医療に従事する、教養が高い方々もいました。しかし、聖書を良く読み、熱心に祈るが、大した学歴もない、無学に近い宣教師も多くいました。

「イエス様を信じたら罪が赦され、死んでから天国に行けるよ。」という彼らの単純なメッセージを聞きに、数多くの日本人が集まって来た時期もありましたが、今日の聖書の箇所にあるイエス様の、「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。」という言葉が想像させる状況とは程遠いものでした。

「日本人の中に、西洋文化に触れたくて、英語を学びに来る人が多いが、キリスト教に対する関心があまりにも低く、アフリカや南米と違って、信徒になる人の数はあまりにも少ない。」そう判断して帰国する幻滅宣教師が多く出ました。

しかし、神様に導かれて日本に来たと信じて、反応が鈍くても根気よく伝道活動を続けた人たちも少なからずいました。父の宣教師仲間の一人はよく、次のように祈りました。「イエス様、あなたは少ないのは働き人で、多いのは収穫だと言いました。しかし、働き人になって日本に来ても、収穫はとても少ないです。それは何故ですか。収穫の主よ、収穫をください。」

子供の数が減って行くなか、学校を運営する私たちも毎年のように入学者数を見て、収穫が多いのか、それとも少ないのかと思い悩みます。今年の五月ごろ、同じルカによる福音書の9章にある、イエス様が十二人の弟子たちを伝道旅行に派遣したことについて話をしました。反応がとても良かった上に、帰って来ても、まだ足を踏み入れていない村がたくさんありました。ここで、イエス様は弟子たちの予備軍の中から、更に七十二人を派遣しました。前と同じように、乞食同然の恰好で送り出し、「病人をいやし、また、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい」と伝え、急を要するから時間を無駄にしないようにと指示しました。

結論から言うと、どの時代にも、多くの収穫があります。あなたを必要としている人たちは、どこかに必ずいます。あなたの力と才能が活かされる場所が必ずあります。しかし、天職は自分に都合があるからではなく、相手に都合があるから手に入るものです。昔から憧れた、恰好の良い仕事でも、労働条件や給料が良い仕事とも限りません。気に入った人種や、人柄が好みの人との仕事ではないかもしれません。住み慣れた環境から出る必要があるかもしれません。気が付くのに時間がかかったり、探すのに苦労したりすることもあるでしょう。

イエス様の「収穫が多い」という言葉を諦めずに信じてください。あなたが刈り取る収穫がどこにあるのか、目を開いて注意深く探してください。収穫に備えて今ここで、才能と、頭脳と、体を鍛えてください。実りの多い人生を送ってください。

Comments

Popular posts from this blog

2019年3月8日 終業礼拝 「心のメンテナンス」

2024年2月26日 礼拝説教 「同行してくださる神」

2023年7月10日 礼拝説教 「人の心を固くする神」