2023年11月20日 礼拝説教 「一神教の原点」
2023年11月20日 礼拝説教
「一神教の原点」
出エジプト記20章1節~17節
2節 「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。
3節 (一番)あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
4節
(二番)あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。
5節
あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。わたしは主、あなたの神。わたしは熱情の神である。わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、
6節 わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。
7節
(三番)あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。
8節
(四番)安息日を心に留め、これを聖別せよ。
9節
六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、
10節
七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。
11節
六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。
12節
(五番)あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。
13節
(六番)殺してはならない。
14節
(七番)姦淫してはならない。
15節
(八番)盗んではならない。
16節
(九番)隣人に関して偽証してはならない。
17節
(十番)隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」
ヤハウェの神様は雷のような声を出して火と煙の中からイスラエル人に語りかけました。イスラエル人はあまりにも怖くて「やめてください」と頼みました。その結果、掟の大部分はモーセが代表して聞くことになりました。しかし、十戒と呼ばれるこの十の戒めは、直接、神様の雷のような声で、イスラエル人の耳に届いたようです。今日は番号を付けて読みましたが、聖書の文面に番号がないのに気が付いたと思います。他の箇所を読むと、戒めが十あったのは確かな事だと分かりますが、プロテスタントとカトリックでは、番号の振り方が違います。
聖書の神様の不思議なところは、目に見えないお方でありながら、ご自分の方から人間に近づいて、交流を求めることです。最初の人間のアダムとエバが木の間に隠れた時、神様は「どこにいるのか?」と言って二人を探しました。しかし、神様が怖い声を出して迫って来るのはとても珍しいことです。旧約聖書の代表的な預言者のエリヤに聞こえたのは「静かにささやく声」でした。神様の声が聞こえると言う、信仰深い人の話を聞くと、耳ではなく、心に響く声として聞こえることが多いようです。
東奥義塾に入学した時、皆様は誓約書という形で校則を守る契約をしました。会社員になる時も、社員として会社のルールを守る約束をします。これは上から押し付けられた命令というよりは、生徒、または社員という特別な身分を得るために、自分から納得してする約束です。最初の戒めの中に、特別な関係を求める神様の姿があり、これは無理な話ではありませんでした。「エジプトの国、奴隷の家から導き出したのは私だ。これは私の結納の贈り物、つまり、あなたたちへのプロポーズを伝える私からのプレゼントだ。」
エジプトから救い出した神として、受け入れてもらえる根拠が十分にあると主張した上で、最初の条件を出しました。「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」旧約聖書の中で一神教、つまり、ヤハウェ以外に神はいないという教えはまだ先の話です。ここで、ヤハウェはエジプトやその他の国の神々の、存在を否定した訳ではなく、イスラエル人に限って、自分だけを神とするように迫っています。
これは心の狭い、身勝手な話でしょうか。イスラエル人と特別な関係を結ぼうとしていたと理解するなら、ごく当然なことだったと言えます。結婚まで行かない恋人関係の中でも同じようなことを求めます。「私だけの物になってください。他の人と付き合ってはいけません。」東奥義塾の職員が「今日は違う学校に行って働くから出勤しません。」と言ったら、とんでもないことを言う人だと思われるでしょう。
「私だけを神としなさい。」という戒めの中に、人間を強く思い、その存在のすべてに対して責任を負う決意をした神様の意思が表れています。数百年後にイザヤという預言者は次のように言いました。「あなたを造られた主は今、こう言われる。恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ。」今日、この思いが私たち一人ひとりの心に伝わることを願います。
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