2023年7月10日 礼拝説教 「人の心を固くする神」

 2023710日 礼拝説教

「人の心を固くする神」

出エジプト記101節~2節、7節、13節~15節、22節~23

27節~29

1節           主はモーセに言われた。「ファラオのもとに行きなさい。彼とその家臣の心を頑迷にしたのは、わたし自身である。それは、彼らのただ中でわたしがこれらのしるしを行うためであり、

2節           わたしがエジプト人をどのようにあしらったか、どのようなしるしを行ったかをあなたが子孫に語り伝え、わたしが主であることをあなたたちが知るためである。」

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7節           ファラオの家臣が王に進言した。「いつまで、この男はわたしたちを陥れる罠となるのでしょうか。即刻あの者たちを去らせ、彼らの神、主に仕えさせてはいかがでしょう。エジプトが滅びかかっているのが、まだお分かりになりませんか。」

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13節       モーセがエジプトの地に杖を差し伸べると、主はまる一昼夜、東風を吹かせられた。朝になると、東風がいなごの大群を運んで来た。

14節       いなごは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。このようにおびただしいいなごの大群は前にも後にもなかった。

15節       いなごが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。いなごは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くしたので、木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも緑のものは何一つ残らなかった。

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22節       モーセが手を天に向かって差し伸べると、三日間エジプト全土に暗闇が臨んだ。

23節       人々は、三日間、互いに見ることも、自分のいる場所から立ち上がることもできなかったが、イスラエルの人々が住んでいる所にはどこでも光があった。

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27節       しかし、主がまたファラオの心をかたくなにされたので、ファラオは彼らを去らせようとはしなかった。

28節       ファラオが、「引き下がれ。二度とわたしの前に姿を見せないよう気をつけよ。今度会ったら、生かしてはおかない」と言うと、

29節       モーセは答えた。「よくぞ仰せになりました。二度とお会いしようとは思いません。」

アラビア半島の南に、人間が滅多に入ることのない、ルブアルハリ砂漠があります。大きな砂丘が何百キロも続き、雨がほとんど降りません。しかし、2018年にインド洋からサイクロンがやって来て大雨を降らせました。砂の中で、その時をじっと待っていた植物の種が一気に芽を出し、一面に緑が広がりました。しかし、これが原因でサバクトビバッタが大量に発生し、2020年になると、メッカに集まったイスラム教の巡礼者たちはバッタの大群に襲われました。インドからケニアの広い範囲にわたって農作物が食い荒らされ、深刻な食糧不足が起きましたが、世界が新型コロナウィルスに気を取られていたため、ニュースとして伝わることはほとんどありませんでした。

バッタは単独行動をするおとなしい虫で、群れになることは滅多にありません。しかし、日本にも見られるトノサマバッタを含む、数種類のバッタに「相変異」という不思議な能力があります。干ばつが終わって雨が降り、バッタが大量発生して込み合うようになると、性質も体の形も急変します。興奮したバッタは黒く変色した身体を寄せ合い、大群になって移動し、ありとあらゆる植物を食い尽くします。成虫になると羽を伸ばして飛び立ち、風に乗って海を渡ることもあります。

旧約聖書は相変異したバッタをイナゴと呼んでいますが、預言者のヨエルはその様子を次のように表現しています。「彼らの行く手を、火が焼き尽くし、彼らの後ろには燃える炎が続く。彼らの来る前、この国はエデンの園のようであった。彼らの去った後には、滅びの荒れ野が残る。何ものもこれを逃れえない。」

周囲の国が干ばつで食べる物が尽きても、「エジプトには食料がある」と言って昔から頼りにされてきたのはファラオが治めるこの国でした。エジプトが雹による被害に続くイナゴの襲撃に合い、「エジプトに食べる物がない」という前代未聞の危機が襲ってきました。それでも、ファラオはイスラエル人の神の前で、負けを認めようとは思いませんでした。冷静に判断できる側近はファラオに助言しました。「即刻あの者たちを去らせ、彼らの神、主に仕えさせてはいかがでしょう。エジプトが滅びかかっているのが、まだお分かりになりませんか。」

家臣の言う通りにすれば良いのに、ファラオはこの時点で、救いようのない人間になっていました。神様は繰り返し、反省する機会を与えましたが、ファラオはそれらをことごとく拒みました。とうとう、ファラオに恐ろしい変化が生じました。「ヤハウェはファラオの心を頑なにしました。」反省しようと思っても、それさえできなくなるという恐ろしい状態に陥りました。神様は哀れみ深いお方であり、人の罪を自ら背負ってくださるお方です。しかし、地獄に向かおうと頑なに決め、耳を貸そうとしない人を救うことができません。

エジプト人の神々の頂点にいたのは太陽神のラーでした。ファラオにはラーの息子という立場がありましたが、光を与えるはずのラーの力も尽きてしまいました。九番目の災いでエジプトの全土は真っ暗になり、太陽の光を失いました。一番大切にしていた存在をバカにされたと悟ったファラオは、モーセとの交渉を打ち切りました。モーセも決意を固め、「二度とお会いしようとは思いません。」と伝えました。しかし、もう一つの災いが残っていました。刻一刻と近づいていたのは、イスラエル人のエジプトからの脱出でした。

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