2023年4月24日 礼拝説教 「神様に委ねられた子供の命」
2023年4月24日 礼拝説教
「神に委ねられた子供の命」
出エジプト記2章1節~2章10節
1節
レビの家の出のある男が同じレビ人の娘をめとった。
2節
彼女は身ごもり、男の子を産んだが、その子がかわいかったのを見て、三か月の間隠しておいた。
3節
しかし、もはや隠しきれなくなったので、パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。
4節
その子の姉が遠くに立って、どうなることかと様子を見ていると、
5節
そこへ、ファラオの王女が水浴びをしようと川に下りて来た。その間侍女たちは川岸を行き来していた。王女は、葦の茂みの間に籠を見つけたので、仕え女をやって取って来させた。
6節
開けてみると赤ん坊がおり、しかも男の子で、泣いていた。王女はふびんに思い、「これは、きっと、ヘブライ人の子です」と言った。
7節
そのとき、その子の姉がファラオの王女に申し出た。「この子に乳を飲ませるヘブライ人の乳母を呼んで参りましょうか。」
8節
「そうしておくれ」と、王女が頼んだので、娘は早速その子の母を連れて来た。
9節
王女が、「この子を連れて行って、わたしに代わって乳を飲ませておやり。手当てはわたしが出しますから」と言ったので、母親はその子を引き取って乳を飲ませ、
10節
その子が大きくなると、王女のもとへ連れて行った。その子はこうして、王女の子となった。王女は彼をモーセと名付けて言った。「水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから。」
イスラエル人に産まれる男の子の虐殺が続いていました。イスラエルの十二部族の一つであるレビ族の夫婦に男の子が生まれました。エジプト人に見つかったらナイル川にほうり込まれます。どんな親もそう思うでしょうが、この赤ちゃんは特別に可愛く、見つからないように必死に隠そうとしました。しかし、赤ちゃんの泣き声は日に日に大きくなり、ヒヤッとした場面が続き、「これ以上隠すのは無理」という時期がやって来ました。
人生において良い選択肢がない場合があります。1982年に「ソフィーの選択」という映画がアカデミー賞の対象になって話題を呼びました。二人の子供を連れてナチの強制収容所に入れられるソフィーは、その内の一人を手放さなければならないと告げられます。とっさに片方の子供に抱き着くと、もう一人の子供はガス室に連れて行かれます。戦争が終わって解放されるソフィーはアメリカに渡りますが、その時の自分の選択に悩み続けます。
イスラエル人の夫婦も、どうすれば良いのかと悩み続けますが、最後は絶望的とも言える賭けに出て、赤ちゃんの命を神様の手に委ねることにします。「パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置」きます。海に流されるか、ワニに食べられるか、籠の中で餓死するかなど、いろいろな可能性がありましたが、「神様、この赤ちゃんの命をどうにかしてください。」と必死に祈りながら、ナイル川の水に浮かべました。
それからの展開は出来過ぎとしか言い様がありませんが、王様の娘の子供として引き取られるようになり、赤ちゃんのお姉さんの気の利いた行動で、実の母親が乳母として母乳を飲ませることになります。もう自分ではなく、王様の赤ちゃんになっていました。「この子を連れて行って、わたしに代わって乳を飲ませておやり。手当てはわたしが出しますから。」という信じられない言葉を聞かされます。
私は母親から、難産の末に生まれた子供だったとよく聞かされました。生まれた次の日に、身体も心もボロボロになっていた母は、私の子育てについて考える余裕もなく、落ち込んでいたそうです。その時、ある先輩のご婦人が見舞いに来て言ったそうです。「この赤ちゃんを産んだのは自分だと思うかもしれないが、あなたの子供ではないよ。『この子を連れて行って、わたしに代わって乳を飲ませておやり。手当てはわたしが出しますから。』と言って、神様があなたに預けたのよ。」
ここにいる皆様に、子供が授かるのはかなり先のことかもしれませんが、いずれはその時が来て、一人の小さな人間の命の責任を任されます。しかし、それより先に、どうにかしなければならないが、良い選択肢が一つもない状況に追い込まれる可能性も十分にあります。自分で悩んでも、人に相談しても、どうにもならない時は、この赤ちゃんの親と同じように、神様の哀れみに任せる決心をしてください。
毎年、卒業生を送り出す度に学校の教員も、それまで世話して来た生徒を神様のみ手に委ねます。子供を川に流したように思えても、受け止めてくれる神様がおられます。泣いている子供をふびんに思う王女との出会いもあります。今抱えている悩みをも、神様のみ手に委ねて祈るようにしましょう。
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