2022年7月19日 終業礼拝 「箱舟に入りなさい」
2022年7月19日 終業礼拝
「箱舟に入りなさい」
創世記6章5節~9節、13節~14節、17節~18節、22節
5節
主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、
6節
地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。
7節
主は言われた。「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」
9節
・・・その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。・・・
13節
神はノアに言われた。・・・
14節
「あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。・・・
17節
見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、・・・地上のすべてのものは息絶える。
18節
しかし、わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。」
・・・
22節
ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした。
海に浮かぶ動物園のような大きい船。船長はひげを生やしたお爺さん。キリスト教系の幼稚園に通ったことのある生徒はこのような絵を見たことがあると思います。それは洪水物語のノアの箱舟です。日本の神話に目立った洪水伝説はありませんが、世界各地に人類が洪水に滅ぼされ、一部の人しか助からなかったという神話があります。それぞれの地域で、違う時に洪水があり、別々に物語ができたのでしょうか。それとも人類が共有する記憶をもとに、同じような話ができたのでしょうか。
小さい子供が喜ぶタッチで、ノアの家族が船に乗り、動物たちと仲良く過ごす冒険物語として描く絵本もありますが、「ノアの洪水」はそもそも、恐ろしいお話です。神様は悪いことばかりする人類に愛想をつかし、すべての生き物を滅ぼす決心をします。「神様ってそんなむごいことするの?」「聖書の神様は愛の神様じゃなかったの?」そのような疑問を持つ人も当然いると思いますが、「そんな神様なんてイヤだ。そんな神様なんて信じたくない。」と言う前に、冷静に考えて見ましょう。
宇宙が始まった138億年前。そこにいたのは、時間が始まる前から存在していた神様だけでした。宇宙の年齢に比べると、人類が生まれてからわずかな時間しか過ぎていません。生を受けたのが昨日で、死ぬのが明日のような存在である私たちが、永遠の神様に文句をつけ、自分たちの都合に合う型に押し込もうとするのは無理な話です。自分からそうしようと決めて命を造った神様が、今度はそれを滅ぼそうと言っても、文句の付け様がありません。陶器を作る人が、作業中に粘土をつぶし、最初からやり直す自由があるのと同じだ、と聖書は言っています。人類がいなくなったとしても、いつもと変わることなく日が昇り、夜空の星も消える事はありません。
「しかし、ノアは主の好意を得た。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。」人間なんかどうでも良いと思って、自暴自棄になる前にこの言葉に注目してください。最初の人類を洪水で滅ぼしたというのに、聖書には「神は愛です」と書いています。その根拠として、聖書はまず、神様の忍耐深さを上げています。「恵みに満ち、憐れみ深く、忍耐強く、慈しみに富み、くだした災いを悔いる」のが神様の性質です。長い時間かけて人の罪を我慢し、やり直すチャンスを何度も与え、裁きを下すのをためらいます。人間がひどく暴力的になってから洪水が起きるまで長い年月が過ぎ、その間、神様はずっと心を痛めながら耐えていました。
もう一つの根拠は、目も当てられないほど堕落した世界を見渡しながら、神様の目に、わずか一人の人間でも留まるということです。「ノアは主の好意を得た。」後にダビデという王様は詩を書き、次の言葉を残しました。「あなたの天を、あなたの指の業をわたしは仰ぎます。月も、星も、あなたが配置なさったもの。そのあなたが、御心に留めてくださるとは、人間は何ものなのでしょう。」神様と出会う人は皆、同じような気持ちになります。宇宙を造られた永遠の神様は何故か、この私に深い関心を示し、際立った良いところがなく、悪いところもたくさんあるのに、愛情を注いでくださるのは何事でしょう。
「見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、地上のすべてのものは息絶える。しかし、わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。」聖書の言葉を信じる人は、ノアを初めとする聖書の登場人物の神様との出会いを、自分たちの経験と重ね合わせて読むようになります。そうすると、心に次のような言葉が響くようになります。「これからは楽じゃないよ。大変なことも起きるよ。しかし、わたしはあなたと契約を結んでいる。箱舟に入りなさい。」
2022年度の最初の区切りを迎えました。義塾祭が終わり、明日から夏休みが始まります。たくさんの幸せな体験が待っていると信じています。しかし、これからの一か月の間、何があるかわかりません。悲しいことも、怖いこともあるかもしれません。そのようなことがあったら、ノアに向けられた神様の言葉を心に留めてください。「あなたは私の好意を得た。わたしはあなたと契約をたてる。あなたは箱舟に入りなさい。洪水が来ても、何があっても、私の言う通りにすれば大丈夫だよ。」
8月23日に、元気な日焼けした顔をした皆様と再会することを楽しみにしています。思い出深い、幸せな夏休みをお過ごしください。
Comments
Post a Comment