2021年2月15日 礼拝説教 「すべての人に憎まれる」

2021215日 礼拝説教

「すべての人に憎まれる」

ルカによる福音書211219

12節             しかし、これらのことがすべて起こる前に、人々はあなたがたに手を下して迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために王や総督の前に引っ張って行く。

13節             それはあなたがたにとって証しをする機会となる。

14節             だから、前もって弁明の準備をするまいと、心に決めなさい。

15節             どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授けるからである。

16節             あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる。中には殺される者もいる。

17節             また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。

18節             しかし、あなたがたの髪の毛の一本も決してなくならない。

19節             忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい。

人に好かれたいと思うのは当然のことです。嫌われると誰も遊んでくれません。話し相手もいないと、とても辛い思いをします。成長過程の中で、嫌われずに済むスキルを学ぶのはとても大切なことです。好かれる術を知らないまま大人になると、反社会的な行動に走る確率が非常に高くなります。しかし、弟子たちにそれからの見通しを話すイエス様は、聞きたくもないことを言いました。「あなたがたはすべての人に憎まれる。」弟子たちはイエス様のもとで、すばらしい世の中が始まると信じ、自分たちがその新しい世界のヒーローになると期待していました。「すべての人に憎まれる」なんて、考えたこともなかったし、「話が違うじゃないないか」と思ったことでしょう。

初めから武装集団だった世界宗教もありますが、対照的に初代キリスト教は300年間、政治力も軍事力もない、弾圧に苦しむ少数宗教でした。イエス様の教えに従って隣人愛にあふれた、平和的な信徒たちに嫌われる理由がなかったと思うかもしれません。しかし、ユダヤ人クリスチャンは異邦人と呼ばれる他の民族を仲間として迎え入れたため、同胞のユダヤ人に憎まれました。ローマ人は皇帝崇拝に協力しない人たちを、帝国への忠誠心がない、謀反を起こす可能性がある人たちとして見なしました。ユダヤ教のような民族宗教の場合は、ある程度まで仕方がないと考えましたが、民族を超えて皇帝崇拝を拒む、この社会的弱者の集団に入る人たちを厄介者扱いしました。月日がたつ内に命まで奪われる迫害が激しさを増し、紀元64年にローマで大火災が起きた時、放火犯の濡れ衣を着せられたクリスチャンたちはネロ皇帝の命令で多数、殺されました。

「あんたなんか、みんなに嫌われているよ。」という言葉を聞いたことがありますか。これは典型的ないじめの加害者が使うセリフで、本当に悪い人に向けられるのは稀なことです。たいていの人は、周囲に一番迷惑をかけている、本当に悪い人にからまれたくないので、適当に相槌を打ってごまかします。「人に迷惑をかけていないか。自分の言動が人に不快感を与えていないか。」これは普段から意識すべきことであり、自己反省は生活習慣の一部にするべき、とても大事なことです。しかし、「みんなに嫌われている。みんなに迷惑な存在だ。」と言われたら、ほぼ間違いなく、いじめのターゲットにされたと考えてください。

反省すべき点があったら素直に言動を改めれば良いでしょう。しかし、思い当たる節がなかったり、自分だけが苛立ちのはけ口にされたりしていることに気がづいた場合は、絶対に負けてはいけません。いじめの加害者は些細なことで気に入らない人を怯えさせ、そうすることによって自分のエゴを膨らませ、自己満足に浸ろうとします。このカラクリが見えると、さほど気にする必要がないことに気が付きます。正体を見破られた加害者は相手にもはや、怯えを与えることができなくなるからです。

挫けそうになったら、イエス様の言葉を思い出してください。「どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授ける・・・あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、あなたがたの髪の毛の一本も決してなくならない。忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい。」今日は神様の子供らしく、怯えることなく胸を張って生きるようにしましょう。 

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