2022年11月7日 礼拝説教 「非常に大きい報い」
2022年11月7日 礼拝説教
「非常に大きい報い」
創世記14章1節、2節、11節、12節、14節~16節、21節~23、15章1節
1節
・・・エラムの王ケドルラオメルが、・・・
2節
・・・ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャと戦ったとき、・・・
11節
・・・ソドムとゴモラの財産や食糧はすべて奪い去られ、・・・
12節
・・・ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。・・・
14節
アブラムは、親族の者が捕虜になったと聞いて、彼の家で生まれた奴隷で、訓練を受けた者三百十八人を召集し、ダンまで追跡した。
15節
夜、彼と僕たちは分かれて敵を襲い、
16節
アブラムはすべての財産を取り返し、親族のロトとその財産、女たちやそのほかの人々も取り戻した。・・・
21節
ソドムの王はアブラムに、「人はわたしにお返しください。しかし、財産はお取りください」と言ったが、
22節
アブラムはソドムの王に言った。「わたしは、天地の造り主、いと高き神、主に手を上げて誓います。
23節
あなたの物は、たとえ糸一筋、靴ひも一本でも、決していただきません。『アブラムを裕福にしたのは、このわたしだ』と、あなたに言われたくありません。
15章
1節 これらのことの後で、主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ。「恐れるな、アブラムよ。わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは非常に大きいであろう。」
ソドムに住むと決めたロトの選択は裏目に出ました。財産があると、それを狙って来る人たちがいます。派手な生活をしているソドムの人たちは、東からやって来た略奪隊の目に留まりました。エラムの武将、ケドルラオメルはソドムと、隣町のゴモラの財産と食料の他、奴隷として売ることを目的に、住んでいる人たちまで奪って行き、その内の一人はロトでした。
知らせを聞いたアブラムは、アブラムっぽくない行動に出ました。人と争わない、温厚なイメージがあるアブラムですが、この際は武器を取り、必死な思いでロトを奪い返しに出かけました。エジプトでファラオからもらった奴隷の中に戦う訓練を受けていた男たちもいました。遊牧民仲間のマムレ、アネルとエシュコルにも呼びかけ、北に移動した略奪隊を追いかけました。野宿している場所が見つかると夜襲をかけ、財産と人を奪い返し、ロトを助けるのに成功しました。
喜んで迎えに出たソドムのあるじのベラは、アブラムに感謝し、人さえ返してもらえるなら、持ち物をすべてアブラムに譲ると言いましたが、アブラムはきっぱりと断りました。命がけで奪い返した報酬として、当然の報いだったでしょうが、アブラムはエジプトでの苦い体験を忘れていませんでした。魂を売る代わりに、身に余るほどの財産をもらった時の虚しさを、二度と味わいたくはありませんでした。
罪の街、ソドムの住民になっても、甥のロトはとても可愛い存在で、ロトのためなら体を張る覚悟がありました。しかし、アブラムはソドムの街とその指導者を心の底から軽蔑していました。ベラの支配下で行われる悪事を知っていたアブラムは、罪の商売で手にした財宝を受け取るつもりはありませんでした。暴力で奪われた物を奪い返してから自分の物にすることにも抵抗があり、略奪隊の逆襲を避けたいという思いもあったかもしれません。
アブラムの心は確実に成長していましたが、「今度こそは失敗したかな」という不安がなかった訳ではありません。そんなアブラムに神様はもう一度語り掛けました。「怖がることはない。あなたの盾になるのは私だ。あなたが受ける報いは非常に大きい。」ウルの街を出た時から見守っていた神様は、アブラムの決断を喜び、非常に大きな報いがあると約束しました。
中高生にあまり縁がない事かもしれませんが、大人の世界で価値観が合わない人にお金を握らされたり、地位を約束されたりするのはよくある話です。しかし、どんな年齢の集団にも力関係があり、一番イケているグループに合わせるようにプレッシャーがかかります。主流派が間違っていても人間の心は弱く、流れに逆らうのはとても勇気のいることです。そのような私たちと同じ人間だったアブラムに与えられたのは次の言葉です。
「恐れるな。」これは聖書の最初から最後まで、何度も出て来る言葉ですが、最初にその言葉を受けたのは、この時のアブラムでした。恐れると人は立ち止まり、前に進めなくなります。その反対は信じることであり、信じる人は前に進むことができます。「神を信じた」と書いてある最初の人もアブラムで、「信仰の父」と呼ばれるようになりました。アブラムが信じたことによって起きたのは何でしょうか。次回はその話になります。
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